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『越後三面山人記』(マヤケイ文庫)読みました [今日のつぶやき(books)]

越後三面山人記(えちごみおもて やまんど きと読みます)



ヤマケイ文庫 新編 越後三面山人記

ヤマケイ文庫 新編 越後三面山人記

  • 作者: 田口 洋美
  • 出版社/メーカー: 山と溪谷社
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: Kindle版


この本を読もうと思ったのは、Youtubeチャンネル「ゆる民俗学ラジオ」のこの動画を見たから。

この動画で本の概要は結構わかると思います。
この本は昭和40~50年代の奥三面の山での狩猟や採集の生活、農業と山の生物との様子が、四季を追って綴られています。
既にダムに沈むことが明らかになっていたためか、失われる山村の暮らしが詳細に記録されています。

山で狩猟する人は山言葉(忌み言葉)を使うとか、儀式をしっかり行うとか、歴然と「山の神様」という考え方が根付いていると分かります。
また、栗や山菜、柴の刈り取りにも、何年にも渡って持続可能な採集を考えたルールがあることも分ります。

獲物は山の神様からの授かりものという考え方が、しっかり根付いているところが、日本人の心性につながっているように思います。
農業だけであれば山の生き物は「害獣」というとらえ方になってしまいますが、熊猟が重要な換金物であった山人にとっては、「共存して生きる獣」というとらえ方になることがなるほどと思いました。


著者の田口洋美さんは、民俗学者として初期にこの地でフィールドワークを行ったようですが、その後他の地域のマタギを訪ねたり、狩猟の歴史や考え方に触れることで、より見識を深めたようです。
この本の最後の章の分析はとても鋭く、素人の私にもよくわかる書き方になっています。

この集落の古老が言っていたう「山と人間が半分殺して共存している」ということがどういうことなのか、とても分かりやすく解説されていると思います。





さて、この動画「ゆる民俗学ラジオ」を見るようになった経緯を少し。

ノンフィション作家の高野秀行さんが『語学の天才まで100億年』を出版したころ

語学の天才まで1億光年

語学の天才まで1億光年

  • 作者: 高野 秀行
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2022/09/05
  • メディア: 単行本


ゲスト出演されていた「ゆる言語学ラジオ」の動画を視聴。

ゆる言語学ラジオの面白そうなトピックの動画を視聴していたら、おすすめに出てくるようになったことが一つ。


有隣堂YouTube『有隣堂しか知らない世界』にて、
”年間三万冊の新刊を吟味する男”有隣堂書籍バイヤー芝健太郎さんがおすすめと言っていたこの本を読んでいたことが一つ。


忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: Kindle版


あと、そもそも田舎育ちなので、民俗学の内容が身近に感じられることも関係していると思う。



読んだ本の感想を記事にしなくなって久しいですが、高野秀行さんの本は出るたびに読んでいます。有隣堂の芝さんも、高野本はとても推していました。
実際、高野本はどれも面白いですからね(^^)


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