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『天路の旅人』(沢木耕太郎著)読みました [今日のつぶやき(books)]

沢木耕太郎の話題作「天路の旅人」一気に読み終わりました。

天路の旅人

天路の旅人

  • 作者: 沢木耕太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/10/27
  • メディア: Kindle版


570ページに及ぶ分厚い本ですが、沢木氏の著作は長くても面白いので長さは全く気にならず、今回も読み終わるのが惜しい本でした。

戦時中の満州から密偵としてモンゴル出身ラマ僧に扮して、中国の西域からチベット、インド、ネパールと旅した西川一三という人物。
ご自身の著になる「秘境西域八年の潜行」という上中下の3巻からなる長大な記録が中公文庫から出版されていたが、沢木氏はそれを読み込み、生前のご本人へのインタビューも行い、足かけ25年でこの本を書き上げました。

西川一三氏の人となりが、長きにわたってもこの人の旅路を書き上げる、という原動力になったのでしょう。
西川氏は旅路の中で最下層の暮らしをしながらも多くを持たず、誠至こそが自らを助ける、という信念のもと旅を続けていきます。
自分は本当は日本人であることがわからないように細心の注意を払い、病気にならないように。
寒さや悪天候、匪賊の脅威、飢えなどなど数々の過酷なエピソードが綴られています。

新しい土地へ行くために、その土地の言葉を習得し、どうやって旅を続けていくかも考え、時に友と一緒に、そして一人でも旅を続けていく。
多くを語らず、欲の無い行動によって、各地で助けてくれる人との出会いも素晴らしい。

日本の敗戦がわかって、もう自分の使命だったことは終わってしまったとわかっても、「見たことのない土地に行きたい」という旅へ強い動機から旅を続けています。
日本人であることが露呈して、帰国することになるのは分かっていましたが、ここまで慎重に行動していた西川氏がどういう状況で日本人と分ってしまうんだろうと思って読み進めていました。

旅の終わりは同じように密偵をしていた人物(木村肥佐生氏)が、他にも日本人が居ることを当局に告げたため。
その人は西川氏の家族のことを考えて告げたのだけれど、西川氏ご本人はもっと旅を続けたかったと、事前に確認してくれていればと悔やんだようです。

戦後数年経った日本では、このような任務についていた人をどう扱っていいかわからず、帰国が伸びてしまったこと、帰国して外務省にあいさつに行ってもすげなくあしらわれたこと。
なんというか、こんなに凄い旅をしてきた人物に対して信じられないくらいの冷遇にあきれてしまう。

日本へのビザを発行してユダヤ人の逃亡を助けた外交官、杉原千畝氏を全く評価しなかった日本の外務省ですからね。
戦後GHQの支配が強かったこの時に、期待してはいけないのかもしれません。

帰国してからの西川氏は旅のことを本に書き上げてもなかなか出版に至らず、でも淡々と日々の仕事をこなし、大きな欲を持たずに過ごしていたというのは本当に修行僧のようだったんだなと感じました。

「この稀有な旅人のことを、どうしても書きたい」と沢木耕太郎氏が帯に書いていますが、沢木氏がこうやって著作にしてくれたことで、私も含め多くの人が西川氏の偉大な旅とその生きざまを知ることができたことには感謝しかないです。


沢木耕太郎氏の著作は、結構読んでいます。
「深夜特急」を読んだのはずいぶん前ですが、一昨年くらいにたまたま図書館で見つけて読んだ「凍」がものすごく面白く、他の著作も読み進めていました。
そういえばこの西川氏の旅路にもヒマラヤ越えが出てきますね。


凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

  • 作者: 耕太郎, 沢木
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10/28
  • メディア: 文庫



沢木氏は西川一三さんと同じように中国の内蒙古からインドへ旅してみたいと、あとがきに書いています。
沢木氏が元気なうちにぜひ旅してほしい、そしてその著作を読ませてほしいと思っています。
ぜひ実現させてほしいです。
それまでどうぞ沢木さんお元気で。

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『東京百景』又吉直樹著 読みました [今日のつぶやき(books)]

(ものすごく久しぶりのbookレビュー記事。 検索したらほぼ10年前!のミャンマー関連本読んだのが最後だった。)

東京散歩、文房具屋めぐりの後、新幹線の中で読み始めたこの本。

東京百景 (角川文庫)

東京百景 (角川文庫)

  • 作者: 又吉 直樹
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/06/12
  • メディア: Kindle版


読み終わった次男から借りてきました。
以前に「火花」と「劇場」を読んでいましたが、エッセイは初です。

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

  • 作者: 又吉直樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/02/10
  • メディア: Kindle版



劇場(新潮文庫)

劇場(新潮文庫)

  • 作者: 又吉直樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: Kindle版


(AmazonはKindle版しかリンクがありませんでした)

「火花」は芸人が芥川賞受賞!と話題になったずいぶん後で読み、面白かったので「劇場」を読みました。
東京で夢をかなえようとする若者の痛いほどの情熱、焦り、つらさ、やるせなさ、むごさが描かれていて、又吉ってすごい!と思っていたのでした。
お笑い芸人の域をとっくに超えて、様々に活動してますね。

本題のこちらの本は単行本として出版されていたものの文庫化版。
又吉氏が東京の各地で感じたこと見た光景を百編書いています。

丁度、東京をあちこち歩いた後に三鷹、高円寺を訪れ、おまけに又吉氏が心酔する太宰治の展示を見たこともあり、すいすいと読めました。

東京の恐ろしいほどの人の多さ、ショッピング街の圧倒的なモノや種類の多さ豊かさ華やかさ。
あー、すごいなあとただただ圧倒された気持ち、東京で働き始めた若い頃の自分やコロナのせいもあり、浪人生活がうまく行かなかった次男のことも重ねていました。

『火花』に出てくるエピソードと思われる「ルミネtheよしもと」、『劇場』に出てくる彼女のことと思われる「池尻大橋の小さな部屋」、くすっと笑える話、ちょっとしんみりする話、妄想満開な話。
長さもテイストも様々なエッセイ。最後に文庫版の一編が収められています。

地方から東京へ出てきて暮らしたことのある人なら、心に響く何かがあるんじゃないかと思います。
東京出身という人にはどうなのかな。


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ミャンマー関連本 読みました [今日のつぶやき(books)]

いつのまにかso-net Blogは40日間更新がないと広告だらけになることに代わっている。
60日間だったので安心していたのに。

高野秀行さんのソマリランド本謎の独立国家ソマリランドがとても売れているようですが、いまだ未読です。

なんですが、↓の本に影響を受けて、図書館の東南アジアコーナーでミャンマー関連本を借りてみました。
アヘン王国潜入記 (集英社文庫)
ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)

一番面白かったのはこれ。

ビルマとミャンマーのあいだ―微笑みの国と軍事政権

ビルマとミャンマーのあいだ―微笑みの国と軍事政権

  • 作者: 瀬川 正仁
  • 出版社/メーカー: 凱風社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本


ミャンマーに惹かれた作者が優しきミャンマーの人々のことや軍事政権による残念なことを記しています。
パゴダをピカピカに修復してしまって、歴史的建造物なのに観光資源として台無しにしてしまうが、それは
先住民族の残した遺跡なので、政府にとって都合が悪かったからとか、ふむふむとよくわかりました。
小乗仏教を信じているので、来世のためにと貧しくても他人にとても親切にしてくれる沢山の人々。
一番驚いたのは、アウンサン将軍もそれに取って代わった軍事政権の主要人物も日本軍で訓練を受けたので、
戦時日本の悪政である、隣組による監視制度や密告が残っているということ。
日本の負の遺産がいまだに残っているのはなんだかいやなことです。

その前に読んでいたこの本でも、「ミャンマー人は日本人に学ぶべきだ」と80年前に言っていました。

ビルマ商人の日本訪問記 (別世界との出会い 2)

ビルマ商人の日本訪問記 (別世界との出会い 2)

  • 作者: ウ フラ
  • 出版社/メーカー: 連合出版
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 単行本


1936年に日本にやってきたビルマ人青年実業家が見た日本各地の様子が綴られています。
日本での見聞をビルマの新聞に書き送ったものを書籍化したので、「ビルマ人も日本人のように〇〇すべきだ」と言った内容があちこちに出てきます。
そのころの日本製品は今の中国製品のように、値段の安さから世界中で売られていたようです。
アジアの中で工業製品を輸出できるレベルまで産業が発展していたのは日本だけだった。
80年前の海外旅行記としても読めるし、80年前の日本を知ることもできて、なかなか面白かった。
しかし、当時のビルマ人としてはかなりお金持ちな青年だったのだろうな。

最後は今となってはあまり内容をよく覚えていないこの本。
一番最初に読んだせいかも。

イラワジの赤い花 ――ミャンマーの旅

イラワジの赤い花 ――ミャンマーの旅

  • 作者: 中上 紀
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/04/05
  • メディア: 単行本


「赤い花」は著者のお父さんである中上健次氏が好きだったアンスリウムのことのようだ。
ミャンマーの旅がつづられていたのだけど、本当に内容を覚えていない。
なら感想なんて書かなくてもいいのだけど。


民主化して、ビジネスの対象として注目の国だけど、私としては発展する前にのんびり旅してみたいなと思っています。
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『「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った』読みました [今日のつぶやき(books)]

最近借りた本。タイ山岳民族の村に暮らす日本人の話。
東南アジア関連の書棚にあったので、少数民族の暮らしがわかるかな、と思い手にとって見ました。

「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った: タイ山岳民族カレンの村で

「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った: タイ山岳民族カレンの村で

  • 作者: 吉田 清
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2012/04/06
  • メディア: 単行本



が、印象に残ったのは、著者が亡くなった奥さんの闘病生活で躁うつ病を患ってしまったことと今の奥さん(タイの山岳民族)に出会ったことから、少しずつ暮らしを取り戻していく様子でした。
淡々と書かれてあったけど、病気の看病のつらさや奥さんを亡くしたことの喪失感などは相当なものだったのだろうな。自分でもいつかそんな事態がおこるかもしれないだけに、ちょっと身にしみました。
元気でバイタリティのある年下の奥さんと出会ったことで、この著者が癒されていく部分があったというのは、近藤紘一氏が最初の奥さんを亡くしたあとに出会った「ダリアのような」笑顔のナウさんに惹かれていくのと、どこか共通するものがあるのかもと思って読んでいました。

タイ山岳民族の村の暮らしは、日本人とは考え方や習慣の違いから、衝突することも多いけれど、「生きていく」ということにとてもシンプルで気づかされることが多い、と著者は書いている。

なんだかいろんなものを背負い込んで、生きづらさを抱えている多くの日本人。
タイの山岳地帯まで行かないまでも、日本を脱出してしか、背負い込んだものを捨てられないのかもしれません。

本のタイトルは「死んだ者は、遺された者が悲しんで食べないでいることを望んでいるだろうか?
そではない、遺された者に生きて欲しいと願っているはずだ。だから遺された者は食べなけばならない」という放浪修行僧トォン師の言葉だそうだ。

なんとなく手にした本ではありましたが、ちょっと心に引っかかるノンフィクションとなりました。

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グレゴリ青山さんの本読みました。 [今日のつぶやき(books)]

高野秀行さんのブログにいいと書いてあった著者だったので、図書館で見かけて即借りてみました。
マンガですが、コミックスではなく本棚に並んでいました。
ちなみに女性の方です。最初、男の人だと思って読んでいて途中で、え?と思った。

面白かったのはこの2冊。
とてもとても旅に出たくなります。ツーリストではなくトラベラーとして。
横浜から船で上海に行ってみたくなる。

旅で会いましょう。 (大人の週末バックパック)

旅で会いましょう。 (大人の週末バックパック)

  • 作者: グレゴリ青山
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本

ふたたびの旅。―大人の週末バックパック

ふたたびの旅。―大人の週末バックパック

  • 作者: グレゴリ青山
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本


12年も前の本なので、旅行ガイドにはならないかもだけど、旅の楽しさや出会いがいっぱいです。

こちらもまずまず面白いかった。でも、著者の趣味って結構特殊なような。。。
インド映画に古い日本映画。オタクっぽくはないので、楽しめます。

旅のグ〈2〉月は知っていた

旅のグ〈2〉月は知っていた

  • 作者: グレゴリ青山
  • 出版社/メーカー: 旅行人
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本



↓こちらも借りてみました。なかなか楽しめましたが、ちょっとアクが強いかも。

グ印観光

グ印観光

  • 作者: グレゴリ青山
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2004/07
  • メディア: 単行本

田舎育ちの自分は、住人側の目線で見てしまったこの本。
田舎で暮らしたいわけでもないのに、都会がなくちゃ困る人が住んだら、いつかは出てくよなぁ。
田舎暮らしはじめました うちの家賃は5千円

田舎暮らしはじめました うちの家賃は5千円

  • 作者: グレゴリ青山
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2009/11/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



最新刊は予約待ちだけど、旅の話みたいだから楽しめるかな?

旅のうねうね

旅のうねうね

  • 作者: グレゴリ 青山
  • 出版社/メーカー: TOKIMEKIパブリッシング(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/07/31
  • メディア: 単行本



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